日本のペットボトルのリサイクル率は85.8%と世界的にみても非常に高い数字。ペットボトルの多くは食品トレーや繊維などにリサイクルされています。しかし、ペットボトルが再びペットボトルにリサイクルされる「水平リサイクル(ボトル to ボトル)」の割合は全体の12.5%と低くなっています(表1)。
ペットボトルは通常ペットボトル以外のものに再生されると、再びペットボトルになることは困難です。しかし、ペットボトルとして再生されると、次も、その次もペットボトルとして利用でき、資源を循環させることができます。このように「ボトル to ボトル」に取り組むことで新たな石油由来資源の使用量と廃棄物、二酸化炭素(CO2)の削減にもつながります。
官民が連携するリサイクル事業
そこで、8月に姫路市では遠東石塚グリーンペット(本社・茨城県)、キンキサイン(本社・姫路市)、伊藤園(本社・東京都)の4者で「ペットボトル資源循環型リサイクル事業連携協定」を結び、域内で大規模に「ボトル to ボトル」事業を展開することに。
ペットボトルの「回収・手選別・圧縮梱包」を姫路市が、「再資源化」を姫路市飾磨区に新しく建設される遠東石塚グリーンペットのリサイクル工場で行います(稼働は2023年4月予定)。「製品製造」は、関西エリアの「お~いお茶」(伊藤園)の製造を一手に担うキンキサイン。「飲料製品の販売」は世界初のペットボトル入り緑茶飲料の開発をした伊藤園です(表2)。
これにより「ボトル to ボトル」で生まれた製品を姫路市を中心とした地域で消費し、域内で再びペットボトルにリサイクルする「域内資源循環」の仕組みが整います。域内循環は全国の自治体でも例がなく、注目と期待を集めています。
「ゼロカーボンシティ」を目指して
伊藤園は今年6月に2025年度までに「お~いお茶」ブランドのペットボトル製品を100%リサイクル素材などに切り替えることを目指すと発表。同社代表取締役会長の本庄八郎さんは「この“姫路モデル”を事例として、積極的に広げていきたいと思います」とコメントしました。
2025年までにCO2の実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言した姫路市。清元市長は「ゼロカーボンシティを目指す上で、今回の締結は、限りある資源の有効活用とCO2の削減に大きく寄与すると期待しています」とコメント。一からペットボトルを作るのに比べ、「ボトル to ボトル」は約6割のCO2排出量削減が期待され、域内輸送で排気ガスの削減にも。自分が捨てたペットボトルがリサイクルされて手元に戻ってくる日は間もなくです。
自然界で分解されにくいプラスチックごみの削減が世界的課題になっていることを背景に、姫路市で8月23日、全国初となるエリア完結型「ボトル to ボトル(B to B)」リサイクル実現に向けた連携協定が結ばれた。姫路市と清涼飲料水の地元メーカー「キンキサイン」(同市豊沢町)、緑茶飲料おーいお茶ブランドが人気の「伊藤園」(東京都)、ペットボトルをリサイクルして樹脂製造する日本最大の工場を持つ「遠東石塚グリーンペット」(茨城県)の4者が連携し、同市内で排出された使用済みペットを新しいペットへと水平リサイクルする資源循環フローを確立するのが目的。今年2月にキンキサインの山口祖廣社長が姫路市リサイクル課の名物課長補佐(通称・もったいない本部長)に打診し、話がまとまった。
具体的には、姫路市のごみ処理施設エコパークあぼしで回収・手選別・圧縮(ベール化)した使用済みペットを遠東石塚が分子レベルで浄化して再生ペット用の樹脂を製造、キンキサインが神河町に置く工場で再生ペットを製造すると同時に飲料をOEM生産、最終的に伊藤園が姫路を中心に関西圏で製品販売していく。2022年4月から取り組みをスタートし、姫路市が広域連携する周辺自治体にも順次参画を呼びかけていくという。
また、遠東石塚は当面は茨城工場で再生ペット用樹脂を製造するが、2023年4月には世界最大級の設備を誇る姫路工場(同市飾磨区今在家)を稼働する予定にしており、同年1月から同工場でベールの受け入れを始める。
日本のペット再生率は約86%と世界最高水準だが、回収された使用済みペットが国内で再びペットとして水平リサイクルされている割合は12.5%に留まり、多くはシートや繊維などボトル以外に再生利用されている。しかも、一旦ペット以外に再生利用されてしまうと再びペットに戻すことは技術的にも困難で、最後は焼却処分するしかない。その点、B to Bリサイクルはペットに繰り返して再生できるため、新たな化石由来資源の使用量や廃棄物の削減につながるだけでなく、新品材のペットと比較して約6割のCO2排出量の削減が期待できるという。
姫路市は2050年までにCO2実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を今年2月に宣言しており、協定締結式で清元秀泰市長は「この取り組みをSDGs未来都市・姫路がさらに発展する契機としたい」と力を込めた。
姫路市は23日、家庭ごみとして収集したペットボトルを原料化し、再びペットボトルを製造する「ボトル to ボトル(B to B)リサイクル」に関する連携協定を、飲料大手「伊藤園」(東京)など3社と締結した。今後、このリサイクルを進めるための工場が地元にできる見通しで、市はごみの減量や二酸化炭素の排出削減につなげたい考えだ。(新良雅司)
収集し原料化■推進へ工場
「PETボトルリサイクル推進協議会」(東京)によると、2019年度の全国のペットボトルリサイクル率は85.8%。ただ、高い技術と多額の初期投資が必要なB to Bのリサイクル率は12.5%にすぎない。多くは繊維やトレー、シートとして再生され、最終的に焼却処分されている。
姫路市も19年度は329トンのペットボトルを収集したが、B to Bリサイクルの技術を持つ企業が近隣になく、導入してこなかった。
連携協定を結んだのは伊藤園のほか、ペットボトルの原料を製造する「遠東石塚グリーンペット」(茨城県)と、飲料製造「キンキサイン」(姫路市)。
3社は22年度から、市が収集したペットボトルを引き取って再生樹脂を製造し、その樹脂を原料にしたペットボトルを使った飲料を主に関西エリアで販売する。23年度には、遠東石塚グリーンペットが姫路市内で新たにB to Bリサイクルが可能な工場を操業する予定で、リサイクルが地域内で完結できるようになるという。
伊藤園は25年度までに、「お~いお茶」ブランドの全製品をB to Bリサイクル素材などに切り替える目標を掲げている。伊藤園の本庄八郎会長は23日、姫路市役所で行われた協定締結式にリモートで出席し、「協定を第一歩に、近隣自治体をはじめ各地に広げたい」と意気込みを語った。
同様の協定は、加古川市など東播磨地域の2市2町がサントリー食品インターナショナル(東京)と結んでいる。
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